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日本人駐在員は必読:異文化コミュニケーションを理解しよう!【ホフステードの6次元モデル】

今日はアンリです。

プロフィールに書きましたが、海外で働く多くの駐在員にとって、

『言語』と『文化』はやはり高いハードルです。

AIの発展で言語面の壁は低くなりつつあるとは思いますが、

カルチャーギャップはAIでは克服できません。

逆に『言語』を学ぶことは『文化』を学ぶことだとも言えるので、

AIに頼って言語学習をしないと文化の差を埋めることが難しくなるかもしれません。

文化といっても突き詰めると『人間と人間の間のコミュニケーション』の問題なので、

コミュニケーション能力の高い人や社交的な性格の人は慣れればなんとかなるんでしょう。

少なくともアンリは『標準的な日本人の社交性=グローバル基準ではシャイ』

判定される性格なので、苦労しています。

オーストラリア留学中にInterpersonalSkillという授業で、

コミュニケーションについてのいくつか面白い論文を読みました。

日本ではコミュニケーション能力=先天的な性格としてとらえられがちですが、

欧米ではスキル=後天的に獲得する技術としてとらえられているのは面白いなと思います。

今日はその授業で学んだ各国の考え方の差を数値化した

『ホフステードの6次元モデル』をご紹介します。

改めて今回調べる中で非常によくまとまった日本語のサイトを見つけたので、

そちらのサイトの情報をベースにご説明します。

こちらのグラフなど情報は下記サイトを使用させていただきました。:
ホフステード・インサイツ・ジャパン Hofstede Insights Japan 文化とマネジメント

序章:ホフステードの6次元モデルについて

このモデルは『ある国で生まれた育った人々の物事の選考が、国ごとにどう異なるのかを

6つの次元(切り口)から文化的価値観の違いを明らかにする』モデルです。

これによりある国の文化と別の国の文化が似ているのか異なるのかを数字で確認できます

特に欧州の特徴は多様性です。欧州で働くと欧州各国の人と働く機会があるので、

こういった指標は重宝すると思います。

欧州といっても人種、地理、宗教などで明らかに文化がことなります。

ラテン系でカトリック系のフランスとゲルマン系でプロテスタントのドイツは文化が異なる

ことは日本でも知られています。具体的になにが違うのでしょうか?

更にイタリア人とスペイン人のように比較的にている国に違いはあるのでしょうか?

ホフステードの6次元モデルでは数字で各国の国民性を6つの観点で比較します。

  1. 権力格差:権力者の権力をどのように認知するか?
  2. 集団主義/個人主義:集団と個人の利害のどちらが優先されるか?
  3.  男性性/女性性:『目標』に対する取り組み姿勢
  4. 不確実性の回避:不確実な事象にたいする許容度
  5. 短期志向/長期志向:結果を出すための期間
  6. 人生の楽しみ方:人生をポジティブかネガティブに楽しむか?

1.権力格差: 権力をどうとらえるか?

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(1)パワーの使い方:権力格差 (hofstede.jp)の内容を下記の要約しました。

『権力格差は、パワーの弱い人の価値に基づき、子供(家庭)、生徒(学校)、部下(組織)など、パワーを持たない人たちが、親、教師、上司など、権力を持っている人たちとの間に横たわる不平等、距離をどう受け止めるのかを示します。』

権力格差の小さい国

イスラエル、北欧諸国、アングロサクソン諸国(英国、ニュージーランド、カナダ、米国)、ドイツなど

スコア0−45の国は、パワーの不平等はできる限りないほうが良い、と考えます。
こうした国で有効なパワーは、「影響力」。
上下の関係は存在しますが、それは目的を果たすために必要な、便宜的なもの。上司や教師、親など、年齢や社会的ランクが上だからといって、人間的に優れていなければならないとは考えません。
こうした国では、人々をやる気にさせる「影響力」が成功の鍵になると考えられます。

権力格差の大きい国

東南アジア諸国、中国、インド、ロシア、東欧諸国、中南米諸国、中東諸国、アフリカ諸国、フランス、ポルトガル、ギリシアなど

パワーの不平等は、当然のこととして受け入れられており、上下関係があるのは「当たり前」、社会的ランクの高い人と、そうでない人は平等ではありません。上司、教師、政治家などのパワーホルダーは、人間としても優れているべきと受け止められます。最良な方法や正しい回答を知っていると期待されます。
自分に与えられた「社会的権威」を使いこなす力が、成功の鍵になります。

日本はアジア地域では最も権力格差の小さい国ですが、予想通り米国、英国や、ドイツ、北欧諸国は更に権力格差が小さいですね。

意外なのがフランスやスペインなどの欧州の国がよりも日本よりも数値が高いことです。さらに儒教の影響が色濃く残るとされている韓国よりもフランスのほうが数字が高い!というのは驚きでした。グランエコール出身のエリート層が支配しているフランス社会は、日本人の想像以上に不平等な社会なんだろうなとこの数字から感じました。『自由、平等、博愛』という素晴らしい国是にだまされてはいけないということですね。

相対的にイタリア、スペイン、フランスなどラテン系の国々が日本と同等以上に権力格差が大きい傾向があるようですが、ドイツ、イギリス、オランダ人に対しては、上司としての接し方はあきらかに日本式からアジャストする必要がありますね。『グダグダ文句言わずにやれ!』という高圧的な姿勢はNGですね。

上司はモチベーターとしていかに納得性を持たせてメンバーに仕事してもらうかを考える必要があるようです。

もちろん個人差はあるのですが、どうしても意見があわないときに、
それが個人の性格によるものなのか国民性の差なのかを知っておくことは
解決策を見つける糸口になるのではないかと思います。
アンリ
アンリ

2.集団主義/個人主義

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(2)アイデンティティ:集団主義/個人主義 (hofstede.jp)からの引用です。

「集団主義社会」:内集団の利害が個人の利害よりも優先される社会。人は生まれた時からメンバー同士の結びつきの強い内集団に統合されている。内集団に忠誠を誓う限り、人はその集団から生涯に渡って保護される。」

「個人主義社会」:個人の利害が内集団の利害よりも優先される社会。個人と個人の結びつきはゆるやかである。人はそれぞれ、自分自身と肉親の面倒を見ればよい。」

日本人はちょうど真ん中くらいなんですね。ちょっと意外です。

おそらくかつてはもっと集団的な社会だったと思います。特にサラリーマンは終身雇用を前提に会社という集団への帰属心が非常に強い(強かった?)のが日本企業の特徴なんでしょうね。

アンリは転職をしたことで会社への帰属心は良くも悪くも相当弱くなったなと思います。労働市場の流動化が更に進めばより個人主義に進むのかなと感じますので、その流れは気に留めておいた方がいいように思います。

とにかく、この項目については一般的な肌感覚通りに、欧州人は個人主義が強い人たちだと思って対応すればいいのかと感じました。

3.男性性/女性性:目標のとらえ方(目標=必達?)

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(3)アイデンティティ:男性性/女性性 (hofstede.jp)からの引用です。

男性性の国

スロバキア、日本、ハンガリー、オーストリア、ベネズエラ、スイス、メキシコ、中国、ドイツ、英国、コロンビア、米国、オーストラリア、ニュージーランド、チェコ、香港、インドなど。

『男性性』:目標必達・極める文化
男性性が強い傾向の社会(スコア55 – 100)では、社会的に成功することが重視されます。設定された目標は必ず達成すべきものであり、絶え間ない努力が求められ、その結果成功した者は周りの人々から賞賛されます。また、男女の社会的役割を区別しようとする傾向があり、「男らしい」「女らしい」という表現でものごとを解釈することが多々あります。

男性性の特徴
業績主義社会が理想で「強い者」「秀でた者」が支持される
欠点の修正を求める社会
働くために生きる。仕事は人生にとって重要な要素
女の子は泣いてもいいが、男の子は泣いてはならない
女性の美の理想は、メディアや有名人に影響される。

女性性の国

スウェーデン、デンマーク、オランダ、ノルウェー、リトアニア、エストニア、ラトビア、フィンランド、コスタリカ、チリ、ポルトガル、ロシア、タイ、韓国、ベトナム

 

生活の質、他者への思いやりが重要な文化 ― 女性性
女性性が強い傾向の社会(スコア0 – 44)では、目標は全体の方向を示すものではあるが、必ずしも達成しなくてもよい、ととらえます。成功は時の運でもあり、そこに執着するよりも、大切なひとと一緒にいる時間を重視し、社会の弱者への思いやりにあふれています。こうした社会では、男性と女性の感情的な役割が重なり合っています。

女性性の特徴
福祉社会が理想で、貧しい人、弱い人を助ける
寛容な社会
生きるために働く
男の子も女の子も泣いてもいいが、喧嘩してはいけない

 

 

この定義はすごく理解できる!と思ったら、なんと日本は断トツの高得点!!
海外で目標設定などをする時には、自分達が異常だと思って言動や考え方を気を付ける必要がありそうです。

なお、『道』『プロフェッショナル』を追求するのは日本人の特徴だと思います。よく言われますが、キリスト教徒にとって労働は『罰=苦行』であり、日本人にとっては『勤勉に働き、極めることは人生の修行=つまり善行』ですね。

堺屋太一の『日本を創った12人』の石田梅岩編でこのあたりの考察がされており、非常に興味深いです。なぜ日本ではアルバイトや清掃員などの単純労働者でさえも意識高く働くことができるのかが、石田梅岩の『心学』の考え方を通じた解説されており、キリスト教の中でも『商い=金儲け』を否定しなかったルターのプロテスタントの考え方とも根本的に思想が違うことを説明してくれています。

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4.不確実性の回避:未知な出来事に対する姿勢

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(4)不確実な未知の出来事に対する対処法:不確実性の回避 (hofstede.jp)からの引用です。

未来に何が起こるのか、知ることはできません。誰もが、そのことを理解しています。
でも、「未来は不確実である」という事実をどう取り扱うかは、文化によって異なります。
「未来に何が起こるのかわからない」というあいまいで未知、予測不可能な状況に不安と脅威を覚え、ストレスにさらされることを回避しようとする次元を「不確実性の回避:ある文化の成員が不確実な、未知の状況に対して不安を感じ、それを避けるために信仰や制度を形成している程度*1」といいます。

不確実なこと、曖昧なことを嫌う文化

中東諸国、中南米諸国、ポルトガル、ベルギー、ロシア、ポーランド、日本、ルーマニア、フランス、 ブルガリア、韓国、ドイツ、台湾など。

不確実性を回避したいという傾向の強い国では、予測可能性を高めれば不確実性を回避できると考えるため、多くの成分化された規則、制度があり、日々の生活の中にも様々な慣習的な規則があります。
なぜなら、人々が不安やストレスを感じやすく、それをできるだけ避けるために、ルール、仕組み、約束事を感情的に必要としているからです。

不確実性の回避度が高い国の特徴
人生に絶えずつきまとう不確実性が脅威です。それを取り除くために形式、ルール、規則が必要とされ、構造化された環境を求めます。
ストレスが高く、不安感があります。
トップマネジメントは日々のオペレーションにフォーカスします。
医師や弁護士など、「その道のプロ」である専門家を信頼する傾向があります。
学生は「正しい答え」を求め、教師が全ての回答を示すことを期待します。
不確実性の回避度が高い国

不確実性許容度の高い国

ジャマイカ、シンガポール、デンマーク、スウェーデン、香港、ベトナム、中国、イギリス、マレーシア、インド、米国、インドネシアなど

不確実なこと、曖昧なことを気にしない文化
ドイツと英国は、多くの共通点を持っていますが、不確実性の回避のスコアには大きな差があります。イギリスの社会学者ピーター・ローレンスは、ドイツでは、たまたま列車が遅れると、禁欲的とも悲劇的ともいえる調子でその事実が伝えられます*2。電車が時刻表通り運行されると「ラッキー」と考えるイギリスは、曖昧さや不確実なことを受け入れる国です。

イギリスには、成文の憲法がありません。憲法はマグナ・カルタや権利章典などの法律、慣習法、そして判例法など、多様な法源によって成立しています。またイギリスからの移民たちによって作られた米国の憲法は、1945年以降6回改正されています*3。つまり、未知の体験であっても、リスクの度合いがわからなくても、まあとにかくやってみよう。法律が機能しなければ、撤回するか改正していこう、と考える傾向が強いのがイギリス・アメリカに代表されるアングロサクソン諸国といえます。

北欧諸国や、中国やシンガポールなどの中華圏、インド。こうした国々においても、規則ややり方にとらわれません。不確実性の回避度が低い文化では、本当に必要なルールのみが存在し、それは忠実に守られます。基本的には結果さえ出ればやり方はどうでも良いと考えているので、仕事の進め方も人それぞれ。成功するためにリスクを取るし、失敗を恐れません。こうした国ではこれまでとまったく違ったやり方(Out of box thinking)、失敗してもトライし続けること(Trial and Error)が推奨されます。彼らは不確実性や曖昧さに直面しても不安やストレスを感じず、リラックスしています。現場のことは現場に任され、ルールの運用も臨機応変というのが彼らの流儀なのです。

不確実性の回避度が低い国の特徴
人生とは不確実なもの、不確実なことが自然。ルールや形式、構造にはこだわりません。
ストレスも低く不安感もそれほどありません。
専門家や学者より、常識や実務家を信頼する傾向があります。
学生は学習のプロセス(自由で良いディスカッションの場)を求め、教師が「わからない」と答えても気にしません。

日本人は保険好きと言われていますが、これは不確実性の回避行動の一つなのかと感じました!これだけ変化が早く先が見通せない時代においては、この特徴は短所としてとらえるべきかもしれません。

コロナの対応においても日本のワクチン対応は他の先進国に比べて遅れたという政府を厳しく批判する人が多数います。ですが、副反応やワクチン開発の失敗リスクなどの不確実性が高かった2020年当時の状況で対応が後手に回ったのは、政府の失敗というよりは、国民性の問題と考えるべきなのかもしれません。

海外赴任の時に一つの資料を40回作りなおしたことがあります。それは将来をシミュレートして複数の対応策を評価して対策案を提案する資料でした。何回作っても『ここがわからない、もっと深く調べろ!』『あれがわからない、調べろ』の指示がでるばかりで、延々と日本人上司が判断してくれませんでした。後で振り返ってみると、バージョン3の時点から最終ばんまで結論は変っていませんでした。『You are the greatest typewrite!』と一緒に働いたローカルに揶揄されながら、資料修正を繰り返しました。

不確実性を回避したいがために、無意味な情報収集や資料の見栄えの改善を要求していることが多々あるのではないかと思います。日本人の生産性の低さが叫ばれて久しいですが、限られた情報の中で最善の判断を下せるマネージャーが増えれば日本の生産性は必然的にあがると思います。

そのためには経験知から結論を導きだすのではなく、普遍的な知識、最新の知識をマネージャーが学び実践して判断することが大事だと個人的には考えます。

日本の文化を研究している英語の文献ですが、
Kata: The Key to Understanding & Dealing with the Japanese!
というものがあります。
その中で日本人の行動様式は一定の型(作法や定型)に基づいており、その型から外れることを『仕方がない』といってあきらめる文化というような記載がありました。日本行動の本質をついたギクっとさせられる考察です。
型にはまらないものを例外ととらえて思考停止にはまってしまう国民性は、例えば、硫黄島総指揮官栗林中将について書いた『散るぞ悲しき』という本に以下のような記載が繰り返しされています。不確実性を嫌う日本人がいかに型にはまった行動と型が通じない事態に遭遇した時の脆さをよく示している事例だと思います。

太平洋戦争末期に侵攻してくるアメリカ軍に対して、各島の日本の防衛隊は伝統的な上陸を断固阻止する『水際作戦』に固執しましたが、圧倒的な戦力差とアメリカ海兵隊という革新的な上陸専門部隊の前にもはやこの作戦は意味をなさないものでした。水際で食い止められずに上陸を許すと、『もはやこれまで』との夜に無謀な総攻撃をしたそうです。最初はアメリカ軍も驚いたそうですが、あまりにも同じ展開が各島で続いたため、上陸からその夜の夜襲のワンパターンは『Banzaiアタック』として嘲笑され、待ち伏せされていとも簡単にアメリカ軍に壊滅させられた。

https://www.amazon.co.jp/散るぞ悲しき-硫黄島総指揮官・栗林忠道-梯-久美子/dp/4104774014/ref=tmm_hrd_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

 

官僚的で硬直化した日本軍は現実を客観的に分析できずに無駄死にした。と駄目組織の典型と言われています。でも90年代からこの30年間、自動車産業以外では負け戦を重ねてきた日本企業で働く我々サラリーマンは本当に日本軍のことを馬鹿に出来るのでしょうか?

5.短期志向/長期志向:結果を求めるスパン

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(5)今すぐ結果を求めるのか、先を見据えて投資するのか:短期志向/長期志向 (hofstede.jp)からの引用です。

長期志向の国

韓国、台湾、日本、中国、シンガポール、ドイツ、ベルギー、スイスなど。

長期志向は、現実性や実用的な視点から将来を志向し、短期志向は規範や短期的視点で現在を大切にします。

長期志向
長期志向の社会では、将来成功するために教育に投資し、他の国から学ぶ姿勢があります。仕事はハードに勤勉、たとえ結果が出るのに時間がかかっても、粘り強く、辛抱強く努力します。簡単にはあきらめない、不屈の精神。これは、Gritの大切な要素であり、ビジネスを成功させる上でも必要な要素。企業内留保は、将来に向けての種まきとして投資されます。
長期視点で考えるため、何が正しく、何が悪いのかは時と場合、状況によって異なり、真実は一つではないという考え方をします。

長期志向の国の特徴
資源を節約して倹約を心がけます。
結果が出るまで辛抱強く努力します。
余暇を重視しません。
市場での地位に焦点が置かれ、将来の成長・利益を重視します。
自己を大きな全体の中の一部であると考えるので、思考が統合的で、全体像を把握してからポイントに向かいます。

長期志向の高い日本、韓国、シンガポール、香港、台湾、は第二次大戦後から急速な経済成長を経験しています。冷戦後には東欧の国々が経済の自由化を行ってきました。

1978年に改革開放路線にかじを切った中国は、目覚ましい発展を遂げています。自動車産業の発展を目指した中国に、1985年、外資の先陣として手を差し伸べたのはドイツのフォルクスワーゲンでした。以来、中国とドイツはビジネスパートナーシップを積み上げ,ドイツ政府のデータによれば両国の取引額はおよそ1,866億ユーロ(2,300米ドル)に及び、2016年、中国はドイツにとって最大の貿易相手国*1となりました。ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)とドイツ商工会議所連合会(DIHK)は、中国の提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」がドイツ企業に巨大な商機をもたらしたとの見方を示しています。

中国の習主席と、ロシアプーチン大統領の相互訪問も頻繁かつ緊密で、ロシアが主導するユーラシア経済連合と「一帯一路」との連携を積極的に推進しています。
いずれも長期志向の国で、未来志向の価値で経済成長に結びつけようとしていることを示し

短期志向の国

中東諸国、アフリカ諸国、中南米諸国、オーストラリア、アイルランド、米国、オニュージーランド、ノルウェー、デンマークなど。

短期志向の国の特徴
消費をすることへの圧力が強い社会
努力はすぐに結果に結びつくためにします。
余暇は重要です。
最終損益に焦点が置かれ、四半期・当年の利益を重視します。
自己を単一の自由な主体として考えるので、思考が分析的で、まずポイントを理解します。

短期志向の社会では、努力はすぐ結果に結びつかなくてはいけないと考えます。
自国へのプライドがあると同時に、何が善で何が悪かの普遍的な指針があり、真実はたった一つと考えます。

冷戦後の「グローバル・スタンダード」の経済体制を作った米国は短期志向です。
FCLTグローバルサーベイ*2によると、経営陣の87%が2年以内に高い財務業績を挙げなければいけないという心理的プレッシャーを感じており、四半期ターゲットを達成できないというリスクを避けるために、コスト削減策を執る経営者は61%。たとえ将来の企業価値を損ねることになったとしても、計画されていたプロジェクトをホールドする経営者も47%に上ります。短期の業績達成が米国の経営者に与えるプレッシャーは、過去5年間でかなり強くなっているようです。マッキンゼー・グローバル・インスティテュート (GMI) が行った調査では、米国でもアマゾン、ユニリーバ、AT&Tなど、長期志向を実践する企業の方が2月8日、企業の短期志向と長期志向がもたらす企業の方が売上、利益、経済利益 (EVA)、時価総額の全ての面において上回りました*3。米国でも、あまりに四半期の業績に拘泥することの弊害が指摘されはじめています。

日本企業伝統的に株式の持ち合いや終身雇用制などの安定的な企業活動を前提に長期的視点から企業活動してきました。90年代からはそういった考え方は古いとして、金融自由化や国際会計基準の導入などで株主への説明責任を四半期ごとに行い、株主利益の最大化を目指す米国的な経営にシフトしてきました。

最近では、Sustainabilityの考え方から日本の『三方よし』や『企業は社会の公器である』のような考えかたで、社会全体への影響力を長期的に見据える方向へ揺り戻しが始まっているように思います。だからといってかつての日本的経営に戻るわけではないと思うので、両社の良いところ取りした経営モデルの模索が続くのだと思います。

6.人生の楽しみ方:幸福感

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(6) 幸福感が決める社会のあり方:人生の楽しみ方 (hofstede.jp)からの要約です。

この次元は、一言で言えば、ネガティブな社会か、ポジティブな社会か、を示しています。
抑制的な社会は、厳しい社会規範によって欲求の充足を抑え、制限すべきだという考え方を持っています。

抑制的な国

エジプト、パキスタン、旧ソビエト連邦諸国、ロシア、東欧、イラク、モロッコ、バングラデシュ、中国、インド

人生の楽しみ方:抑制的な国の特徴
幸せであるとか、健康であると感じることが少ない、社会肯定的な情動を思い出しにくい、悲観主義的な社会
無力感を感じている:自分に起こることは自分ではどうしようもできない
言論の自由は一般の関心事ではない
きつい、抑制の強い社会
職場では、謹直で厳格な態度が信用され、プロフェッショナルであると受け取られる。
微笑みは疑惑の目で見られる
余暇はあまり重要ではない

短期志向の国

ベネズエラ、メキシコ、プエルトリコ、エルサルバドル、コロンビア、スウェーデン、ニュージーランド、オーストラリア、デンマーク、英国、カナダ、米国 ナイジェリア、ガーナ、南アフリカ

人生の楽しみ方:充足的
充足的な社会は、人生を味わい楽しむことに関わる人間の基本的かつ自然な欲求を比較的自由に満たそうとする社会です。

人生の楽しみ方:充足的な国の特徴
幸せであるとか、健康であると感じる人の割合が多い社会
肯定的な情動を思い出しやすい、楽観主義的な社会
人生はコントロールすることができると感じている
言論の自由は比較的重視されている
ゆるい社会
職場では、ポジティブシンキングが奨励される
微笑みかけることが規範
余暇は重要
人生の楽しみ方:充足的な国

この指標はなかなか解釈が難しいですね。一般的なイメージとして陽気なイメージのイタリアよりも日本のほうが充足的なんだー、不思議だなと思います。

日本人のサラリーマンの潜在的なロールモデルは『良く働き、良く遊ぶ人!』なんだと思います。オフィスではバリバリ厳しく働いて、夜な夜な銀座のクラブを飲み歩いて、週末はゴルフというのが伝統的な出来るサラリーマン。『日本人はオフィスでは静かだけど、飲み会のときはうるさい』とげんなりした顔で日本のオフィスに研修に来たオーストラリアの友達が言っていたことを思い出しました。

昼だけじゃなく夜の顔を考えると「勤勉な日本人」という典型的なイメージではなくある程度は充足的な生き方をしているのかもしれませんね。

終章.ホフステードを使って日本と外国を比較しよう

理論はわかったと思うので、次は実践しましょう。

自分がよく仕事を一緒にする外国人と日本人を比較してみてはどうかと思います。

今、アンリは主にフランス人と仕事していますので、日・仏・独で比較してみました。

特定国との比較については、下記のサイトで比較できます。(4ヶ国まで比較可能です)

Compare countries – Hofstede Insights (hofstede-insights.com)

フランスと日本で大きく数値に乖離があるのは、
2. 個人主義か集団主義 (25ポイント差)
3. 男性性か女性性  (52ポイント差)
4. 長期志向か短期志向(25ポイント差) で大きく異なることがわかりました。
特に2と3は志向性が反対なので気を付ける必要がありそうです。

ドイツと日本との比較では、
1. 権力格差(19ポイント)
2. 個人主義か集団主義 (21ポイント)
3. 男性性か女性性 (29ポイント)
4.不確実性の回避(27ポイント差)
特に1,2,3は志向性が反対なので気を付ける必要がありそうです。

もちろん個人差はあるのですが、どうしても意見があわないときに、
それが個人の性格によるものなのか国民性の差なのかを知っておくことは
解決策を見つける糸口になるのではないかと思います。
アンリ
アンリ

 

 

 

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