ドイツやフランスは『Bio(ビオ)』と呼ばれる有機野菜や食品が豊富です。
「ちょっと割高だけど、子供が口にするものは極力Bioにしてあげたい」
「Bio=オーガニック=有機農法=栄養価が高く身体にも環境にも良い」
といった漠然とした親心と健康への関心でアンリもBio商品を購入してます。
ただ完全にBio以外を買わないと決めているわけではなく、
その時の気分で買ったり買わなかったりという感じです。
良いことづくめのようなBio商品ですが、
Bioって野菜に付加価値をつけて高く売りたい
農協や企業の『グリーンウォッシュ』じゃないのか?
とふと疑問を感じたので、今回はBioについてまとめてみました。
1.Bio(ビオ)とは
1.定義
アメリカやイギリスなどの英語圏では『オーガニック』と言われています。
別ものなのかと思いましたが、単なる言語の差のようです。
認証マークとしては、
EUの「ユーロフィーユ」マークとEU基準がないものは各国独自マーク(フランスでは「AB」マーク)があります。
詳細は下記をご参照ください。
「bio(biologique)」とは、日本では「オーガニック」、「有機」と呼ばれる化学肥料や農薬を使わない農地で生産され、かつ、遺伝子組み換え技術を使わないなどの生産要件を満たした有機農産物や、原料の95%以上に有機農産物が使われた加工食品に用いられる言葉であり、ヨーロッパ共通の認証である「ユーロフィーユ」マークや、フランス農業・食料省の独自認証である「AB(Agriculture Biologique)」マークが付されて販売されています。
この基準は、日本の有機JAS認証に相当する厳しいものですが(各認証マークの使用基準は表1を参照)、2018年時点で農林水産省が初めてまとめた調査では約1,850億円といわれる日本の有機食品市場と比して、フランスのbio市場は2013年時点で既に45億ユーロ(約5,400億円)であり、2018年には97億ユーロ(約1兆1,640億円)と5年間で2倍以上と遥かに大きくなっています(※1)。
表1)
マークの種類
マークの使用基準(抜粋)
(EU)
ユーロフィーユマーク
欧州理事会規則「(EC)№834/2007」及び「(EC)889/2007」に従い生産された農産物、加工食品、飼料、畜産物、種子等に適用。農産品、加工食品にかかる主な生産要件は以下のとおり。
・主に再生可能資源を使用し、認められた肥料・土壌改良資材を使っていること。
・遺伝子組み換えをしていないこと。
・有機加工食品にあっては、水と食塩を除き、95%以上が有機起源成分であること。
※欧州理事会規則及び日本貿易振興機構「欧州における有機食品規制調査」より。
(フランス)
ABマーク
Agence Bio「ABマーク使用規則」に従い生産された農産物、加工食品、飼料、畜産物、種子等に適用。上記欧州理事会規則に準拠した生産が求められる。
また、欧州理事会規則の規制対象外であるペットフード、ウサギ、カタツムリ等にも使用が可能。
※Agence Bio「ABマーク使用規則」より。
(日本)
有機JASマーク
農林水産省「有機農産物の日本農林規格」等の有機JAS規格に従い生産された農産物、加工食品、飼料、畜産物に適用。農産品、加工食品にかかる主な生産要件は以下のとおり。
・堆肥等による土作りを行い、播種・植付前2年以上及び栽培中に、原則として化学的肥料及び農薬は使用しないこと
・遺伝子組換え種苗は使用しないこと。
・有機加工食品にあっては、水と食塩を除き、95%以上が有機農産物(又は有機畜産物・有機加工食品)であること。
※農林水産省食料産業局「有機食品の検査認証制度について」より。
https://www.clairparis.org/ja/clair-paris-blog-jp/blog-2019-jp/1322-2019-08-28
これらのマークがついているものであれば、ある程度品質は信頼しても良さそうです。
2.世界のBio(ビオ)の潮流
2020年に農林水産省がまとめた資料があったので、ご紹介します。
日本ではまだまだお金持ちや意識高い系の人たちが食べるものという感じがしますが、
フランスやドイツは日本人の12倍程度有機商品を購入しており、
肌感覚どおり完全に市民権を得ています。
2.Bio(ビオ)とサステナブルは違う
『Bio=環境に良いサステナブルな製品』と考えがちじゃないでしょうか?
冷静になればわかる話ですが、スーパーでぼーっとしていると
ついついBioは環境にも良い製品のような気がしてしまいます。
確かに無論農薬を極力しようしないなど土壌を弱らせないという意味では、
Bioは環境に良いものです。
環境への効果については、農林水産省の資料で簡単にまとめられていました。
ですが、いくら有機農法のBio製品でも、万能薬ではありません。
例えば、
・旬じゃない季節にビニールハウスで作られた野菜
・遠い国から輸送された野菜
・過剰包装の野菜
などは、生産、輸送、廃棄時にCO2が排出されます。
Bioは必ずしも環境に良いサステナブルな製品ではありません。
Bio ain’t Sustainableという英語のサイトでは、
具体的にどういった観点で商品を選ぶべきかアドバイスが記載されていましたので、
ご紹介しておきます。
- 季節の商品: 季節が違う野菜を育てることは不自然であり、化学品やその他の資材など生育環境を整えるための負荷が増大する。
- 近郊の商品: 近郊から買えば物流時のCO2排出が抑えることができる。
- 輸送方法: 距離だけではなく、その輸送手段にも気を配る必要がある。例えば、航空輸送はトラックや鉄道輸送に比べて同じ距離の輸送でもCO2排出量が多くなる。
- パッケージ: 商品のパtケージは梱包時だけではなく、廃棄の時にも環境負荷となる。必要最低限で生分解性のパッケージは廃棄時の環境負荷が低くなる。
- 生産時の労働環境: 倫理的な観点も考慮すると、生産時の労働環境への配慮が必要
- 再利用性 :再利用可能な商品は新規の生産時に発生する負荷を回避できる。
- 商品の処分: 処分時の廃棄コストも低くなるような商品を選ぶことが重要。
またアメリカのケースですが、CNBCがオーガニック食品は本当に価値があるのか?
という刺激的な動画も公開されていました。
その中で、『確かにBio農産物の一般品よりも農薬残留度は低い。だけど一般農産物の農薬
残留度でも特に人体への影響はない』との専門家のコメントがありました。
3.結局割高なBio(ビオ)商品を選ぶ理由はなに?
皆さんがBio商品を選ぶ理由だと思います。(少なくとも私はそうでした)
・残留農薬の蓄積を回避できそうなイメージ
・環境に良さそうなイメージ
・美味しそうなイメージ
・栄養価が高いイメージ
ですが、今回調べてみてアンリの結論としては、
『環境(特に土壌)に良い』サステナブルな商品だからというのが
最も腹落ちする理由かと感じました。
それ以外について確かに該当するケースもあるけれども
必ずしもそうではなさそうです。
ちなみに、親として気になるのは残留農薬だと思います。
農薬の残留濃度から見た場合に、割高だけどあえてBio品を購入すべきと
された野菜/果物をご紹介します。
1.いちご
2.ほうれん草
3.ケール
4.ネクタリン
5.りんご
6.ぶどう
7.チェリー
8.桃
9.梨
10.パプリカ
11.セロリ
12.トマト
引用元:The Dirty Dozen: 12 Foods You Should Buy Organic | EatingWell
逆に、あえてBioにしなくても残留農薬が低いとされたのは以下の野菜です。
1.アボカド
2.スイートコーン
3.パイナップル
4.玉ねぎ
5.パパイヤ
6.冷凍のグリーンピース
7.なすび
8.アスパラガス
9. ブロッコリー
10. キャベツ
11.キウイ
12.カリフラワー
13.マッシュルーム
引用元:15 Foods You Don’t Need to Buy Organic | EatingWell
自己責任でお願いします。
4.最後に
漠然としたBio商品への意識が少し鮮明になった気がします。
環境への配慮はもちろん大事ですが、全部Bioに切り替えるほどの
甲斐性はないので、少なくとも農薬残留度が高いとされた野菜について
極力Bio製品を買おうかと思いました。
欧州のグリーンニューディールの政策の一つにも入っているようなので、
今後Bioは更に広がると思います。
その中で価格も下がってくれるといいですね。